再生医療とは?
第3の治療、再生医療とは
変形性膝関節症はこれまで鎮痛剤の内服やヒアルロン酸の関節内注射、リハビリなどの保存的治療や手術治療が一般的でした。
保存的治療と手術治療の間に位置し、“第3の治療”と呼ばれる再生医療が近年進歩しています。
再生医療とは、生きた細胞を患者さんの体外へ取り出し、人工的に加工して患者さんの体内に移植することで、損傷した臓器や組織の再生を助け、機能を回復させる治療法です。
変形性膝関節症にもこの再生医療が応用され、厚生労働省から認可された医療機関でのみ提供されています。当院では、標準治療に加えてこの“第3の治療”に着目し、変形性膝関節症の患者さんに提供できるさまざまな治療の中の新たな選択肢の一つとしていち早く取り入れて実践しています。
当院で可能な治療
再生医療がおすすめの方
変形性膝関節症に対する再生医療は、
以下のような方です
- 保存的治療では効果が得られず、手術を受けるのは抵抗がある方
- 手術を受けるまでの時間を伸ばしたい方
- さまざまなご事情や健康状態から手術を受けることのできない方
- 一度の注射で効果を持続させたい方
各種治療の結果
APS療法の結果
APS療法で
膝関節の痛みや腫れに対して、
改善傾向がみられました。
当院でAPS療法を行った患者さんの57症例を調査したところ、6割以上の患者さんに有効性が認められ、1年後でも効果が持続していました。約半数の患者さんは関節に水がたまる症状の減少がみられ、定期ヒアルロン酸注射の症例も大幅に減少しています。
再生医療を希望される患者さんにはKOOSと呼ばれる痛みや症状の評価を治療前・1か月後・3か月後・半年後・1年後と行っています。
点数が高値になるほど症状の軽減を表します。下記の表のような変化が見られました。
変形性膝関節症は状態を4段階に分けることができます。
最重度の変形がある患者さんでも改善効果がありますが、軽度~重度の患者さんと比較すると多くの方が1か月以内に改善し、また早期に効果が減弱していく傾向があります。
APS療法治療後の結果
軟骨や半月板の状態の可視化
3次元MRI画像解析システム(SYNAPSE VINCENT®)で比較、3次元MRI画像解析システム(SYNAPSE VINCENT)による軟骨欠損や半月板の確認
3D MRIを用いたASC療法の効果判定
当院で再生医療を行うメリット
経験豊富な膝専門医による
診察と詳しい検査
経験が豊富な膝治療の専門医が患者さんの膝を診察します。レントゲンやMRIのみならず、最先端の3次元MRI解析システム(SYNAPSE VINCENT®)を用いて、軟骨や半月板の状態が患者さんにも良くわかるように加工して詳しく説明します。
リハビリでの指導やフォロー
当院には膝治療の経験が豊富な理学療法士が多数在籍しています。 膝のリハビリを実施、指導することで、動作の改善や筋力増強を図り、膝の機能を高めます。
各種治療法の比較
外来で行う変形性膝関節症に対する
注射治療
再生医療とヒアルロン酸の比較
それぞれの特徴を掲載しました。
治療方法をもっと詳しくお知りになりたい方やご不明な点がある場合は整形外来までご相談ください。
種類 | 再生医療 | 従来からの 治療法 |
|||
---|---|---|---|---|---|
ASC療法 | PRP/APS 療法 |
PFC-FD療法 | 滑膜幹細胞 | ヒアルロン酸 | |
内容 | 自己幹細胞 | 自己血液製剤 | 自己血液培養 | 自己幹細胞 | 合成ヒアルロン酸 |
治療概要 | 腹部または大腿部から脂肪を採取、分離した幹細胞を増殖させた後関節に注射 | 自己血から抽出したPRPから有用なたんぱく質を精製し関節に注射 | 自己血から抽出した脂肪細胞を培養し、痛みのある部分に注射 | 膝から滑膜を採取、幹細胞を培養させた後、関節に注射 | 合成したヒアルロン酸を関節に注射 |
組織再生 | ○ | △ | △ | ○ | × |
作用 | 炎症や痛みの抑制 軟骨の再生 |
炎症や痛みの抑制 | 炎症や痛みの抑制 | 炎症や痛みの抑制 軟骨の再生 |
関節の潤滑 |
頻度 | 基本的には1回 | 基本的には1回 | 基本的には1回 | 基本的には1回 | 週1回を5回 以後必要に応じて継続 |
副作用 | 注射後の副反応や痛みはほぼ認められない | 一時的な痛みや腫れが出現する場合がある | 一時的な痛みや腫れが出現する場合がある | 一時的な痛みや腫れが出現する場合がある | 注射後の副反応や痛みはほぼ認められない |
一部位あたりの 治療費 |
132万円から | PRP11万円 APS33万円 |
22万円 | 198万9800円 | 保険適応 |
再生医療実施までの流れ
変形性膝関節症の治療は一つだけではありません。数ある治療法の中から、その患者さんに適した最良の治療方法を自ら選択いただけるような診療を心がけています。現在行っている治療の効果に悩まれている患者さんはぜひ当院にご相談ください。
よくあるご質問
受診するにはどうしたらいいですか?
「切らない治療法」をご希望される場合は整形外来(070-7485-1567)へご連絡ください。
受診にはいくらくらいかかりますか?
初回の診察時は保険診療となります。診察内容や保険の負担割合によって異なりますが、3割負担でMRI撮影を行うと1万円程度が目安です。
生命保険に加入しています。先進医療特約は使えますか?
ご加入されている保険の約款によりますので、保険会社のご担当者にご確認ください。
どの治療を選択したらいいか迷っています。
膝の状態に応じて最適な治療は異なります。受診時に医師にご相談ください。
治療は半永久的に効果がありますか?
治療の効果や持続期間などは患者様ご自身の状態や治療方法によって異なります。詳細は受診時に医師へご確認ください。
お問い合わせフォーム
お問合せに関しては病院営業日の平日8時半~17時、第二・第四土曜日午前中にこちらからご連絡いたします。お急ぎの場合は営業時間内にお電話ください。